スナックに行こう【しがらみのない世界】
おじさんの社交場『スナック』。『スナック』とはそんなイメージではないだろうか?
スナックは古くからやっているところも多く常連客が通う店というイメージもあり、初心者には敷居が高く感じるだろう。
しかし、勇気を出して扉の向こうの世界に飛び込んでみると、ハマってしまうこと間違えナシなのだ!
また最近では、スナックにハマってしまう若者や女性客が増えているという。
老若男女が魅了されるスナックとはどんなところなのだろうか?
スナック初心者へ
店主のママやマスターが座長で空気を作り、お客は時には脚光を浴び、脇役に回りながらその場の雰囲気に酔いしれる。
スナックは一夜限りのキャスティングで、日々ドラマが生まれる社交場だ。
お客の社会的な立場や収入など、スナックの中では関係ない。
名前も素性も知らないもの同士が肩寄せあい、酒と会話で盛り上がるのが『スナック』なのだ。
どのスナックにも、店主の人柄に惹かれて足繁く通っている古くからの馴染み客が付いている。
しばらくぶりに行っても、気持ち良く迎え入れてくれるスナックは、馴染み客にとってまさしく憩いの場である。常連客はいつもの場所に座り、店主と会話楽しみながらしっぽりと酒を飲んでいる。
時たま来る客や新規客は、店主に通された場所に座るのがマナーだ。
かしこまった客や自分だけが楽しもうという客は場違いである。
店主、常連客が作っている空気に溶け込むことがスナックの暗黙のルールと言えるだろう。
スナックの醍醐味
カラオケ
スナックにはカラオケがあるところがほとんどだ。
セット料金にカラオケ代が含まれているところや、1曲ごとに200円程度支払うシステムがある。
ここにもまたスナックならではのルールがある。
マイクの独占や他の客が歌っている曲を横取りしてはならない。
また、自分が歌い終わったからといって次の曲探しに夢中になってはいけない。他の客が歌っている時には手拍子や拍手をして盛り上げること。
トイレに立つときには、歌っている人の邪魔にならないようにモニターの前を通るときには気をつけることだ。
カラオケBOXと違い、歌う時には店内にいる全員の注目が自分に集まり、周りが盛り上げてくれる。
まさしく脚光を浴びているかのような快感を味わうことができるのがスナックのカラオケだ。
誰もが気分よく歌えるようにと、互いの気遣いが一体感のある空間をつくり上げていく。知らない曲でも歌うのが苦手でもその場の空気を楽しむ。
歌い手も利き手も楽しめるのがスナックのカラオケの醍醐味だろう。
会話
スナックでは無口な人でも話したくなる不思議な空間だ。黙々と飲んでいるお客は一人もいない。
店主の手腕の成すところなのだろう。どんなタイプのお客でもすぐさま会話のタイミングを見抜くのだ。
どのタイミングで会話を挟むか、どんな会話で相手の心を開かせるか、お客ひとりひとりの様子を常に観察し店の隅々にまで気を配る。
店主が自ら話し相手や相談にのり、盛り上げ役になり、隣客との会話の接点もつくる。
時には羽目を外しすぎるて、周りのお客に絡んだりする困ったお客もいる。
楽しい空気を壊さずに酔っ払い客を上手くさばき、周りのお客へのフォローも忘れない。
店内を舞台に店主が何役もこなし切り盛りするスナックは、まさに劇場型酒場といえるのではないだろうか。
スナックはSNSの進化版
現実社会、円滑な人間関係を築くため人は外や家庭の中でも、何かしらの仮面を被っている。
「大人なんだから」「親なんだから」「社長なんだから」こうでなければならないという社会的立場や、「○○はこういう人だ」という周りがつくり上げた肖像。
社会や周りがつくり上げた自分像をその場その場に応じて演じている。「偽りの自分」を演じるのは本来辛いことなのだ。
そんな世の中にSNSという、名前も素性も知らないもの同士がコミュニケーションをとれるツールが普及した。
SNSのアカウントを職場の人や友人にも明かしていない人も多いのではないだろうか。また、リアルな付き合いのある人と繋がっているアカウントとは別に、裏アカウントを持っている人もいるだろう。
なんのしがらみのないSNS上の繋がりはその場限り。
「偽りの自分」の自分を知らない、名前も素性も知らないもの同士のコミュニケーション。
「理想の自分」になりきりコミュニケーションをとることで、自分を解放してあげることができるのだ。
お気づきだろうか?
SNSが普及する以前から日本には、社会や周りがつくり上げた「偽りの自分」を解放し「理想の自分」を解放してあげられる場が存在したのだ。
収入や社会的立場に関わらず、その場限りで気軽に付き合える場『スナック』だ。
同じ時間に居合わせた者同士が空間を共有しながらも、その夜限りのお付き合い。
互いに根掘り葉掘り聞き出さず、たわいのない話に花を咲かせる。
『スナック』ではSNS上では得られないリアルな反応を感じられるため、現実的に「理想の自分」を認めてもらえていることを実感できる。
がんじがらめのしがらみの現実社会を生き抜くためには、「理想の自分」を認められ解放できる場が必要なのだろう。
スナックに行こう【しがらみのない世界】まとめ
『スナック』とはママやマスターまた、訪れるお客の「人生の縮図」が個々に存在しながらも、一体感のある現実社会に存在する異空間だ。
その異空間は二つとして同じ日がない。名前も素性も知らないもの同士が繰り広げるその夜限りのドラマだからだ。
社会的立場・現実社会がつくり上げた「偽りの自分」から解放される『スナック』では、人と人との本来あるべき姿の繋がりが存在するのだろう。
しがらみのない世界で自分を解放することで、現実社会でも活力が湧いてくる。
そこに老若男女関係なく魅力を感じるのではないだろうか。